※断酒178日目


断酒会の家族体験談を

アルコール依存症者本人が書く


僕はアルコール依存症のため、毎週通っている「断酒会」という、アルコール依存症者本人、または家族が集まる会がある。

断酒会
フリー素材いらすとやより引用

そこでは年に数回、「断酒会だより」なる学級新聞のようなものを発行している。

アルコールでいろいろ悲惨な人生経験をした人達の経験談をのせて、読んでもらうのだ。

そろそろ次の“断酒会だより”を発行するという。

そこで断酒会から「家族体験談」を書いてくれないか、と嫁さんに打診があった。


嫁さんは

言いたいことが山ほどあるけど、文章が書けん

と言った。

ぼくは

「アンタの今までの気持は知っているから、なんなら書いてやろうか?」

と言った。

と、いうことで「アルコール依存症である本人がアルコール依存症の家族の体験談を代筆する」、という変な事になってしまった。


とりあえず、軽くエッセイ風に綴ってみよう。

「アルコールが取り持つ縁、アルコールが壊す縁」というタイトルにしてみようか。


僕と嫁さんはバーで酒がらみで知り合い、そして結婚した。

しかし、酒のせいで家族が崩壊していく。


そういうストーリーにしよう。

いや、ノン・フィクションだ。


以下、簡単に綴ったのがそれだ。


〇アルコール依存症・家族体験談


●女


私は、27歳独身女性。

市民病院の、看護師をしている。


彼氏は・・・・・・居るには、居た。

医者だった。

でも、遠距離恋愛だった。

・・・・・・逢いたい時に逢えない。

そういう辛い恋愛をしていた。

私は、なかなか縮まらない彼との距離に、いつか実るのだろう恋愛に、わずかながらの希望をたくし、日々を過ごしていた。


彼は東京都内の某有名病院に勤めていた。

だから、地方に出張の時だけしか、逢えない。

総合病院
フリーフォト足成より引用


・・・・・・こういうのまさか、現地妻っていうのかしら。

たまには、東京に逢いにもいってみた。


彼の家では、私の第六感がわずかに、なにか敵対的な嫌なものを感じる。

私以外の女性の陰を、わずかだが感じる。

それを問いただす勇気は私には無かった。

すっきりとした気分ではなかった。


愛と疑心の感情に、交互に胸をからめ締められるこの生活は、

「私自身の存在は何なのか」

自問自答を繰り返す日々を過ごさせた。


週末は、大好きなバーへ、いつも女友達と出かける。

カウンターがあって、踊る空間があって、客の半分は外国人だ。

バーとクラブの中間のような、店だ。

ハード・ロックやバラードがかかると、外国人たちカッコ良く踊りだす。

・・・・・・私も、あんなふうに踊れたらいいのに。

私はどちらかというと、恥ずかしがり屋なほう。

あんなふうに踊るなんてできない。


DJバー クラブ ロックバー
CLUBLOG・R&B好きクラブジャンキーのクラブの歩き方サイトより引用


夜中もすぎると、音楽はスティングやボブ・ディランなど、しっとりとしたものに変わっていく。

あちこちのテーブルに、即席カップルたちが肩を寄せ合って話をしている。

私も誰かステキな人と、そうしたい・・・・・・。


でも、連れは女友達ばかりだ。

私は、酒はそんなに好きではない。

しかし、ワインボトルの一本くらいは空けることが出来る。


とうの昔に出来上がっている連れの女友達と私は、しかたなく「イイ男」チェックをする。

ちょっとキアヌ・リーブスに似た感じの、アレンっていう男性とは友達だ。


・・・・・・ちょっと、好み。


でも、彼女が居るのか、私は口説かれたことがない。


・・・・・・容姿には、少し自身があるのにな。バストも外国人好みにはあるんだから。


今晩もアレンは居た。

声を掛けて、逆ナンしてみようかしら。


そういえば、カウンターに、色白で背が高いんだけど、か細い、そこそこの顔立ちの日本人男性が、今日も独りで片手にグラスを傾けていた。

・・・・・・彼もワリと好みのタイプなんだけど。 ちょっとだけ気になる。

〇うつ病の男性


●男


ぼくは29歳、会社員。

何年か前、仕事で、残業250時間を越える、徹夜につぐ徹夜、それが半年も続くという、仕事地獄を味わった。

そのせいで、僕の交感神経と副交感神経は故障し、夜眠れなくなった。

いつも気分が沈み、ボーっとして、生きているのが辛かった。


会社の勧めで、精神科病院を尋ねると

「立派なうつ病です」

と診断された。

それから毎日、抗うつ剤と睡眠薬を服用する日々が続いた。

現在、広く知られているうつ病も、当時の世間ではあまり一般的に知られていなかった。


会社に行くのは行っていたが、辛くて全く仕事にならなかった。


夕方、定時になると会社を出て、いつものバーに駆け込む。

そこで、顔なじみのマスターに

「いつもの、強いの」

と頼む。

マスターは、ウォッカやらジンやらで、かなり強めのヤツを作ってくれる。


画像20190216カクテル
フリーフォト足成より引用

僕はポケットからサイフを取り出し、700円を渡す。

その、強めのやつを一気に喉に流し込む。


強いアルコールが胃粘膜で吸収され、焼けるような感覚と共に、辛さがスッと消えていく。

・・・・・・これでいいんだ。


僕は今、何のために生きているのか分からなかったが、“この瞬間”のために生きている、と言ってもいい。


しばらくすると、アレンという外国人が店にやってきた。

キアヌ・リーブス似のイケメンで、背が高い。

そのくせ彼は、ワリとフランクな性格で、ここのバーでは人気者だった。


僕はよく彼と、雑談をしていた。

トイレですれ違った時に、声を掛けようと思ったが、まあ、また後にしようと、その日は結局話をしなかった。


しばらくすると、彼は店を出て行った。

その彼があんなことになろうとは、思いもしなかった。

声を掛けとけば、と後悔した。

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